上高地アラカルト
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上高地に魅せられて通うようになってもう3年が経過した。

若いころから上高地に一度は行ってみたいと思っていたけれど、なかなか機会に恵まれず忘れかけていた。ある日のこと、出張で高山市へ出かけた折に野麦峠道路で上高地を示した標識を見てその思いが一気に再燃した。
ある秋の朝、快晴の空を見て『上高地に行こう!』と思い立って車に飛び乗ったものの、この日は上高地を目の前にしてすげなく引き返す羽目になった。
ことの原因は、下調べもしないで行けば何とかなるとばかりに鉄砲玉の様に出かけたのが災いした。
岐阜市から国道156号線を通って郡上市からせせらぎ街道に入って紅葉を眺めながら上高地の紅葉はさぞ綺麗だろうとウキウキと運転している時はこの日が結果に終わるとは思いもしなかった。
岐阜市から、国道156号線を通って、郡上八幡からせせらぎ街道へ入り、高山までの紅葉は素晴らしく綺麗でだった。紅葉の景色に浮かれて、せせらぎ渓谷で休憩した頃から上高地行きに黄色信号が灯り始めていたが、能天気な本人は気が付いていない。
無知×無計画の方程式は、とても残念な結果に導いてくれると知ったのは、これから数時間先のことで、ここから更に無謀な行動を取ることなる。
本当なら高山から国道158号線で上高地へ向かうところを、飛騨市経由で国道471号線を通ったのが決定的な誤りで、ここで上高地行きに信号は真っ赤に・・。
これが国道なのか?と、思う様な険しい山道を走っていると、前方から当然お猿さんの群れ(家族かも?)やって来た。何だか嬉しくなって、しばし車を止めて眺めて眺めていたが、この時点で泥沼に足を取られて抜け出せない状態になっていた。(そう言えばお猿さんのお尻も赤かった・・のかな?)
お猿さんたちに挨拶している頃から時間が気になっていたけど、それでもまだ何とかなるだろうと上高地行きを強行したのが赤信号を突破だった。
そんなこんなで、上高地に辿り着いたまでは良かったが、警備員が気の毒そうな顔をしてマイカー乗り入れ禁止と、閉門時間も迫っていると教えてくれた。
警備員の話を聞いて啞然としたが、時すでに遅く、このまま何もなく岐阜まで帰るのかと思うと、情けないやら悔しいやらで涙がこぼれそうになった。
寂しい夜道を引き返す道中で、それでもお猿さんに会えたから良いじゃないかと自分を慰めるのが精いっぱいだった。
こうして、上高地の神様(本当にいらっしゃるらしい?)に門前払いされたけれど、次の週には立ち直って再挑戦すると決めた。失敗も多いけど、立ち直りも早い・・のだ。
世間ではこれを単細胞とも言うらしいけれど、失敗したらやり直せば良いだけのことと、考えるのがスマイルの長所なのだ。(これしか取り柄が無い・・のです)
そして、次の週は、下調べも準備も完璧で意気揚々と出発したのは良いけど、期待していた紅葉は色あせて、晩秋の気配だった。
それでもを取り直して、大正池から梓川沿いに河童橋に着いた頃には、上高地の魅力の虜になっている自分がいた。
と、ここまでが、失敗談から上高地デビューした年までのお話でした。
そんな訳で、次は新緑の上高地を訪れようと計画したけど、春がとても短くておまけに梅雨の影響で天候にも恵まれず、二度目の上高地は萌える様な緑の夏模様だった。それでも、思いがけない出会いがあって、楽しい一時を過ごすことが出来た。
秋に上高地に来たときなどは、少しでも多く見なきゃ損と、急ぎ足で歩きまわって夕方にはクタクタに疲れて帰りのハンドルが重かった。
そんな教訓を活かして、次からはゼンマイを緩めに巻いてゆったりと行動してみようと思う。そう思うと何だか少しだけ成長した様な気がしてきた。
少しは進歩したと思いたいし、たまには自分を褒めてやるのも良いと思う。何だか少し悟りを開いたみたいな気がしてきた。(ここは手前味噌なお話・・)
悟りを開いた?ところで気分を良くして焼岳と大正池について、知る範囲で(ほとんどが受け売りで恐縮ですが)紹介したいと思う。
大正池の停留所でバスを降りて少し歩いた先に険しい山が見えてきた。だけど、無知の悲しさで、その山が焼岳とは知る由も無く、ただ、見上げるばかりだった。

ねえ、見て!あのお山が焼岳だよ。凄く険しくて迫力があるね!
周りの話声にそっと聞き耳を立てると、そのお山がどうやら焼岳らしいと分かった次第・・。

そうか、あれが焼岳なのか?でもそんなに高く感じないぞ・・。

焼岳が高く感じないのは、僕たちが立っている上高地の標高が約1500メートルなので、ここから見上げても1000メートル程度の高さにしか見えないんだよ。

ほうほう!なるほど!良いことを聞いたぞ!忘れない様にメモしておこう・・・帰ったら皆に教えてやるとしよう。
そんな話を盗み聞きしながら中学校程度の地理の勉強をしようとは思いもしなかった。そう言えば、中学生の時に聞いた校長先生の訓話を思い出した。
それは、確かこんなお話だったと記憶している。

富士山を麓から見上げれると高くて綺麗に見えますが、高い山から見れば、バケツを逆さまにした程度の姿にしか見えません。
校長先生が伝えたかったのは、『皆さんも一歩一歩階段を登って自分の立ち位置を高くする様に心がけて下さい。そうすれば違った景色が見られます』
と、言う様な意味だったと今にして思うけど、その頃は何も理解できないですっかり忘れていた。
そう言えば、大谷選手も「大リーガーを憧れの目で見上げていないで堂々と対等に戦おう!」と言っていたな・・。(校長先生の訓示は重くて深かった・・・のだ)
今頃思い出しても遅いか、いや!まだ間に合う!生きている内は頑張ろう!